時効の利益の放棄に関するQ&A
Qどのようなことをすると時効の利益の放棄とみなされますか?
A
代表的なものとしては、2つ挙げられます。
1つめは、債務の返済を約束することです。
具体的には、債務(貸し手側からみた債権)が時効によって消滅する期間が経過していることを認識しているが、消滅時効を援用せずに返済する旨の意思表示を、書面等によってすることです。
2つめは、実際に残債務の一部でも支払うことや、支払うことを申し入れることです。
消滅時効が完成しているにもかかわらず、これらの行為をするように債権者が催促する可能性もあります。
そのため、最後の取引から長期間が経過している債務があり、債権者から書面の作成や支払いを求められた場合には、すぐに弁護士に相談をするなどして慎重に対応しましょう。
Q時効の利益の放棄を取り消すことはできますか?
A
未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が、法定代理人等の同意を得ずに時効の利益の放棄をした場合は、取り消すことができるとされています。
これらに該当しない方が時効の利益の放棄をした場合、基本的には取り消すことはできないとお考えください。
時効の利益の放棄が、不正な手段によってなされたものであった場合、理論上は取り消すこと可能といえることもありますが、実務上はかなり難しいと考えられますので、消滅時効が完成していると考えられる債務について何らかの行為を求められた場合には、うかつに行動をしないことが大切です。
Q時効の利益を放棄しないためにどのようなことに注意すればよいですか?
A
最後に支払いをしてから長い時間が経っている債務について、債権者の方から書面の差し入れや一部(1000円など少額であることが多い)返済を求められた場合には、一旦応じないようにし、弁護士などに相談をするようにしてください。
すでに消滅時効が完成している場合には、債権者が求めてきたこれらの行為は、時効の利益の放棄に該当するものである可能性が高いためです。